「ヒックとドラゴン」は児童文学が原作、ドリームワークスが製作の3Dアニメ映画で、テレビシリーズも作られている人気作品です。今回はその完結編である「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」の紹介です。日本では12月20日公開ですが、一足早く東京国際映画祭で見てきました
「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」のあらすじ
「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」の公式サイトがこちらです
基本情報などはここからどうぞ
「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」は、ナンバリングされていませんが実質「ヒックとドラゴン3」です
原題は「Cars3」なのに邦題が「カーズ/クロスロード」になった例がありましたが、
「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」の原題は「How to Train Your Dragon: The Hidden World」なので原題に沿ったものと言えるでしょう
完結編ということなので「ヒックとドラゴン」「ヒックとドラゴン2」は見といた方が良いと思います
ただ「ヒックとドラゴン2」は見ていなくてもわかる作りにはなっているので最低限「ヒックとドラゴン」は見ておきましょう
そもそも「ヒックとドラゴン」はアニメ史に残る大傑作なので、見ないという選択肢はありません笑
「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」はシリーズのファンや「2」の時に劇場公開希望の署名をしたような人なら間違いなく楽しめる作品ですし、
まさにスクリーン映えする作品で、シリーズで一番スペクタクルと言って良い作品なので、見に行こうと思ってる方はブラウザをそっ閉じしましょう
※これより先ネタバレ含みます
第一幕 ヒックたちの今の暮らし
冒頭はこれまでのように、ヒックのナレーションで……始まりません
ヒックとトゥース(本当はトゥースレスがトゥースで統一します)が捕らえられているドラゴンを助けるところから始まります
一作目から馴染みの仲間たちとドラゴンを解放しますが、一匹だけ助けられなかったドラゴンが……
それが今回のキーキャラクターとなるライトフューリーです
ルギアではありません
そして助けたドラゴンたちを引き連れて、自分たちの住んでいるバーク島へと戻りますが、ここでヒックの口からこれまでのようなバーク島に関する説明が始まります
時間の設定としては「2」の一年後から始まっているようなので、ヒックたちは21歳ということですね
すっかり長となったヒック
トゥースもドラゴンの長なので、治安が守られています
後見人的なゲップからはアスティと結婚して2人で治めよと言われます
しかしバーク島はドラゴンを保護して連れて帰っているせいで、人口密度ならぬドラゴン密度が大変なことになっています
新たに連れ帰ったドラゴンが動くだけで家がドミノ式に崩壊します(ここはアングリーバードみたいで楽しい)
さらにはドラゴンが一箇所に集まっているので、ドラゴンハンターから狙われやすいという危険性が……
ここで悪役の登場!
グリメルです
元DeNAのグリエルではありません
グリメルは特にナイトフューリーのハントにこだわっているようで、ライトフューリーを使ってトゥースを捕まえようとします
トゥースは案の定一目惚れします
ただ罠が仕掛けられていたことにヒックが気づき、警戒を強めます(ライトフューリーは利用されてるだけ)
そしてある夜、ヒックの家にグリメルがやってきます
警戒し対策していたヒックたちでしたが、グリメルはドラゴンたちを操り、ヒックの家は火の海に!
九死に一生を得ますが、グリメルは話が通じない的のため、このままでは全面戦争するしかない!という事態に
ただこれまでの「ヒックとドラゴン」を見てきた方は分かると思いますが、ヒックは平和主義者なので戦争はしない主義です
なので幼少期に父のストイックが言っていた地図に載っていないドラゴンの聖地を目指そう!ということになります
ドラゴンの聖地はドラゴンが生まれる場所ということで、ストイックはドラゴンとの戦いを止めるために調べていたとのことでした
7代続いた故郷を捨てて、新しい土地に移住計画です
ぼくたちこそが「バーク島」だ!
第一TP 聖地を目指すヒックたち
第二幕 聖地を目指す!
ヒックたちバーク島の住人、およびドラゴンたちは民族大移動を始めます
ただずっと飛ぶことはできないので、ちょうど良いところで休憩します
さらにはそこはちょうど良い感じの島だったので、聖地が見つかるまではここに滞在しようということになります
一方トゥースとライトフューリーも仲を深めていきます
この辺はシリーズを通してトゥースが行う棒を使って絵?を描くのがキーになっていました
結構トゥースとライトフューリーの恋模様が描かれるのですが、個人的には何故ドラゴンのイチャイチャを見せられているのだろう……という感じでした笑
映像は美しいんですけどね
ヒックはトゥースのことを思って、一匹でも翔べるように尾びれをつけてあげてました
トゥースが飛び立って行く時に、ヒックが少し寂しそうにトゥースを見つめて周りもそれとなく見ているカットがあるのですが、ここがすげぇ「ヒックとドラゴン」っぽいシーンでした
なんだろう、この丁寧な描写という感じですね
ちなみにライトフューリーは光学迷彩的なことが可能で、トゥースも練習して出来るようになります
ただ2匹がイチャイチャしている間も敵は迫ってきます
ヒックのお母さんであるヴァルカが追っ手が来ていないか、パトロールをしていると追っ手が来ていたのです
そこで場所を特定される前に「グリメルを捕らえればええんや!」とヒックたちはグリメルを捕らえようと出かけます
しかしグリメルは強敵です
逃げて帰ってくるのがやっとでした
さらに仲間の一人であるラフが帰ってきていないのに気づきます
ラフは人質にされたのです
さらにさらにトゥースはライトフューリーとイチャイチャしているので帰ってきません
これにはさすがのヒックもショックを受けます。少ししたら帰ってくると思っていたからです
トゥースがいないと長として務まらないのでは……と悩むヒックは一人で解決しようと考えますが
アスティが手を差し伸べ、トゥースを探しに行き、その足でラフを助けに行くことにします
2人がストームフライに乗ってどんどん進んでいくと、伝説で言われていた通りの滝を見つけます
そこを進んでいくストームフライ
そこにはドラゴンの聖地がありました
ここの映像は本当に綺麗で、神話的な神々しさもあります
本当はここでドラゴンとの共生を考えていたヒックですが、「あっもうここは人間の来れるところじゃない」と察します
ここでもドラゴンの王となっているトゥース(2で出てきたラスボスのドラゴンもいる)
そんな時、他のドラゴンに見つかり、攻撃されそうになりますが、トゥースが2人を助け、逃げ出します
仮の村に戻った2人ですが、先ほどの光景を見ていたこともあり、ヒックはトゥースとの別れを覚悟します
が……!そこにはライトフューリーの姿も!
これでもしかしたらまだトゥースと暮らせる可能性があるとヒックは元気に
ちょうどその頃、ラフも一人で帰ってきました
人質になっていたラフですが、檻に閉じ込めている時にずっと一人で話しているので、うざすぎて解放されるのです笑
東京国際映画祭では、字幕版で見ましたが、ここはラフの声優をしているクリスティン・ウィグの独壇場という感じでした!
本作で一番笑えるところは間違いなくこのシーンです
ただ解放されたラフですが、グリメルがただで返すわけがありません
ラフは「私は過去は振り返らない女さ」みたいなことを言っていましたが、敵にずっとつけられていたのです
ここで奇襲を受け、なんとトゥースとライトフューリーどちらもグリメルの手に渡ってしまいます
ドラゴンたちが反撃しようとしますが、手を出すとライトフューリーがやられてしまいます
なのでトゥースは「ここは手を出さず、我慢してくれ……」といった感じでグリメルに連れ去られて行きます
第二TP トゥースとライトフューリーが連れ去られる
第三幕 最終決戦、そして……
ここで逆転の一手!
「2」を見た方なら分かると思いますが、ヒックは自分で翼を作り、飛ぶことができます
それを同期のみんなにも装着!
まさかドラゴンなしで飛んでくるとは思っていないグリメルはヒックたちの奇襲を受けます
このシーンはまさに活劇という感じで良かったですね
船で行われるアクションもスペクタクル!という感じで興奮しました
そしてなんやかんやあり空中戦に
トゥースは麻酔みたいなのをグリメルからくらって、落ちていきます
その隙を見て、ライトフューリーに捕まるヒック
ただ足にはグリメルが捕まっています
その時、ライトフューリーにつかまっていたヒックは「トゥースを頼んだ!」と言い、自ら手を離します
ライトフューリーはトゥースを助けます
そして海へと落ちていく直前で、ライトフューリーはヒックも助けます(グリメルは落ちた)
「助けてくれると信じてたよ」というヒック
ついに悪者を倒し、めでたしめでたし
人とドラゴンはいつまでも仲良く暮らしましたとさ……
かに思いましたが、ここでヒックはトゥースと別れることを選択します
そして村人たちも自分の飼っていたドラゴンと別れを告げます
ドラゴンはあの聖地で暮らすべきだと判断し、別れます
そしてヒックとアスティは結婚
さらに何年後か……
ヒックは立派なヒゲを生やし、いよいよジェイクギレンホールに近づきます
そしてアスティと子供2人と船に乗っている時のこと
霞の先に、トゥースの姿が見えます
トゥースは最初に会った時のように警戒心を見せますが、ヒックが手を差し出すと、すぐに昔のようにじゃれ合います
怖がっていた子供たちとも触れ合い
ラストはトゥースに子供と一緒に乗り、終わります
いつかドラゴンと共生できる日を夢見て……
(ちなみにエンドロールはこれまでのシリーズの走馬灯という感じの映像で(反則なやつ)感動しました)
【「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」考察】何故ヒックたちはドラゴンと別れたのか?
まぁ考察ってほどでもありませんが笑、見ている最中は正直この別れのシーンはピンときませんでした
これはもう映画では大定番のシーンです
「E.T」「のび太の恐竜」「モンスターズインク」……と異なる世界に住んでいると必ず別れが訪れます
なので本作もこのシーンは話のセオリー的には必然な展開ですが、言っちゃうとそこまで感動しませんでした
全体的な作品の出来は、「ヒックとドラゴン」の方が上ですが、別れのシーンに関してはピクサーの「アーロと少年」の方が遥かによく出来ています(というかアーロはほぼそこ一点突破)
なぜ(自分は)そこまで感動しなかったかというと、あまり別れに必然性を感じられなかったからでしょう
なんか物語的に避けては通れないので、別れを選択したように見えました
何故かというとヒック側、ドラゴン側、どちらにも特に葛藤はないし、こういう時どちらかは永遠の別れになることに気づいていないが、成長した方が泣く泣く別れるというのが感動パターンだからです笑
でも「ヒックとドラゴン」は結構どちらも決心固めるのが早いし、見る感じだと別に一緒に共生できそうなんですよね
これに関しての疑問は、上映後に行われた監督へのQ&Aで解決しました
ちょうど「Q:このような結末に決めたきっかけがあれば教えてください」という感じの質問が出ました
「ヒックとドラゴン」新作には宮崎駿の影響も、監督「人類は自然を守らないと」
ディーン・デュボア監督。本人がバイキングっぽい風貌
この記事に大まかなことは載っていますけど、やや詳しく書くとこういう感じです
「1」「2」で描いたように、世界が完璧な姿なら人とドラゴンは共生できるが、実際の世界はそうではないと
そこで宮崎駿の話が出てきてましたが、宮崎映画にあるように自然を守らなければならないが人類は自然を傷つけてしまうという面を出したそうです(ちなみに監督は宮崎さんと言っていた)
そして人間が回復すれば、自然がまた戻ってきてくれるかもしれないという思いでこのような結末にしたそうです
つまりドラゴンたちは「自然」の象徴としても描かれているということですね
この話はとても分かりやすかったです
また監督はある一時期だけの期間だけど、その出会いが深遠なインパクトを与え、永遠に変えられる、それぞれが違う道を歩み始める映画が好きだそうで
それは例えば「きつねと猟犬」「E.T」「タイタニック」「ロストイントランスレーション」でそういった映画の伝統を参考にしたと
しれでヒックの成長の証として、他人のために何かできるということを示すために愛するものに自由を与えるという選択をさせたそう
ここまでくればなるほどと思うはずです
「2」の悪役であるドラゴと今回の悪役であるグリメルは結構似ています(劇中でもグリメルが言及してる)
そもそもドラゴンが集まりすぎて狙われやすいということで移住を計画したヒックたちですが、このまま一緒に住んでいてもまた新たな敵(ドラゴンを傷つける存在)は残念ながら出てくるということだと思います
さらに見つけた”聖地”は明らかに人間がいられる(管理できる)場所ではなかったので、別れざるを得なかったという感じでしょうね
まぁこのまま別れだと寂しすぎるので、数年後成長したヒックとトゥースが再会するエピローグ的なものがついてましたが
「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」感想
シリーズを追いかけてきたファンなら間違いなく楽しめる期待を裏切らない完結編になっていると思います
個人的には2と同じぐらいの面白さという感じでしょうか(1は大傑作すぎる)
ただ上述したように冒険活劇感はこれまでで一番あったし、スペクタクルなシーンも多く、スクリーン映えする作品ですし
2を劇場で見られなかった分、これは是非劇場で!と言いたくなる良い作品でした
個人的には監督のQ&Aも観れたし、その内容もとても良かったので、めちゃくちゃ満足して劇場を後にしました(他のQ&Aは上の記事がよくまとまっているので割愛します笑)