「すべて、終わらせる。」というスターウォーズ完結編となる『スカイウォーカーの夜明け』見てきました。個人的には見終わったあと「まぁ……こんなもんか」と思いましたが、終わってからだんだんこれは明らかにおかしい……いやおかしい!と思い始めたので、もやもやを含めの感想です。
※ネタバレがありますので、鑑賞後にお読みください
パルパティーン復活が全ての元凶
これは予告でも言われてるし、ep9の一番の話題といってもいいので、ネタバレではないと思いますが、パルパティーン(ダースシディアス)が復活します
ep9のすべての動機にパルパティーンが関わってきます
カイロレンはパルパティーンからレイを殺せ!と言われ、レイたちはパルパティーンの進軍を阻止するために、ルークが探していたというパルパティーンの元まで行く鍵的なものを探しに行きます
まぁなんやかんやあって、レイの出自がカイロレンから明かされます
レイはパルパティーンの孫だったのです
ほえ????
ep8『最後のジェダイ』でレイの親は「名もなき人」だとカイロレンから明かされてましたが、あれは嘘だったようです
「その日の飲み代を稼ぐために、レイを売った」という話でしたが、「パルパティーンがレイの行く末を知り、殺すことにしたので、親がレイを守るために売った」という話に変わってました
いやいやいや……
パルパティーンめっちゃ回りくどいことするやん
パルパティーンは今回、レイに怒りや憎しみを持って自分を殺させることで、帝国の新たな悪の女帝として(ダース・ベイダー的なやつですね)迎えようとしてましたが
育てろよ!幼少期から!
だってスノークを分身にカイロレンを育ててたんですよ(と明かされます)
しかもレイはダークサイドに落ちやすい性質というのもep8で描かれてましたよね?それだったらレイを育てた方がいいと思うんですけど
あとはそれだったらレイを狙う勢力がないとおかしいですよね?
それもこれもep7からパルパティーン復活を全く組み込んでおらず、ep9で急に興味を惹くために復活とか言い出したから色々無理が出てるんだと思います
それに一番の問題はパルパティーンがこんな簡単に復活するなら、ルークやダース・ベイダー(アナキン)が成し遂げたことってなんだったの?と思うことです
宇多丸さんが『最後のジェダイ』評で「ルークが成し遂げたことに対してあまりにもリスペクトが足りなすぎる」みたいなことを言ってましたが、それなら今回とかひどすぎませんか
これがep7から組み込まれていて、レジスタンスがバカすぎたので復活してしまった的な展開ならまだわかりますけど、今回から急にですもん
新新3部作(シークェルトリロジー)は一作ごとに作り手に任して作ってるので、全く一貫性がないんですよ
実際マーベルもそういう風に作ってるらしいので、そのやり方自体がおかしいとは言いませんが、今回のスターウォーズに関しては明らかにそのせいで失敗してると思います
レイの出自にフォースを信じるものはキレるだろ
レイはパルパティーンの孫でレイ・パルパティーンだったと明かされましたが、これはスターウォーズの負の歴史を繰り返してるとしか思えません
もともとep4「新たなる希望」で観客が熱狂したのはルークという名も無い田舎の青年が宇宙を救うヒーローになったというところでした
ぼくは新三部作(プリクエル)世代なので、この辺は伝聞ですが、確かにep4だけ見るとそういう話です
ですが、ep5「帝国の逆襲」でダース・ベイダーから「I am your father」と言われるわけです。ルークも生まれ持った人間だったのです
これはフォースは誰にでもある、修行すれば使える!(実際そうなのだが)と信じていた観客にとっては、結局血筋か!と少なからずショックだったようです
さらに観客をがっかりさせたのが、新三部作(プリクエル)から登場した「ミディ=クロリアン」という設定
ざっくりいうと、フォースを使うには先天的なものがあるという設定で、プリクエルで一番批判されてるところだと聞いたことがあります(一番はジャージャーか?)
僕は子供の時に『ファントム・メナス』を見ていたので、こういった批判は後から知りましたが、それをいうなら今回の『スカイウォーカーの夜明け』は絶対おかしくないか!?
結局選ばれしものの戦いだったということ?(まぁこれまでも実際そうなのだが)
確かにレイのフォースの力は明らかに常軌を逸してますし、ルークの修行を途中で中座しても一人で覚醒できるぐらいですから「血筋がすごい!」でこれらの描写には説得力がありますけど、納得いかねぇ!
ep7「フォースの覚醒」で感動的だったのはもはや神話の人物であるハンソロが「フォースは本当にあるし、ジェダイも本当でこれまでの戦いも本当なんだよ」みたいなとこを言うとこでした
色々言われているep8「最後のジェダイ」で「レイの両親は何でもない人で、その日の飲み代を得るためにレイを売った」という話もぼくは好きでした
ep8の終わり方もそんな感じでしたよね?名も無い人たちでもフォースは使えるという
もっと言えば「ローグワン」でみんなが一番好きなのはドニーイェンですよね
彼は選ばれしものではないけど、詠春拳などを学んでフォースを使えるようになったんですよ!(違うものが混じってる)
そんな何でもない世代でもフォースは使える!ジェダイにもなれる!(これは実際難しいのだが)というのが感動的だったのに……
レイがパルパティーンの孫だという設定は、結局フォースは選ばれしものしか使えないものって話になってませんか?(大事なことなので2回目)
それに血筋はベン・ソロ(スカイウォーカー)で描いてるのに
あと霊体化したルークから「血じゃないよ」って言われますが、血じゃん!って思いませんか?
これももう一回言いますが、ep7からそういう話だったら文句はないですよ?でも明らからに今作から付け足した後だしのせいで変になってるんですよ
それに「レイはパルパティーンの孫だった」って今作から言われて「えぇぇぇぇ!」って驚くのはかなり純粋な人しかいないと思うんだけど……(まぁぼくも驚きましたけど笑)
あとスターウォーズの締めくくりとして、惑星タトゥイーンに行って、ルークの住んでた家でとレイアのライトセーバーを埋めますが(レイアのライトセーバーってスピンオフの話じゃなかったっけ?)
その時にタトゥイーンの人から名前を聞かれて「ボンド、ジェームズボンド」という感じで「レイ・スカイウォーカー」といってルークとレイアが見守る中、二重太陽を見て終わりという終わり方ですが
名も無いガラクタ集めてた少女が伝説のスカイウォーカーの名を継いでいくって展開の方が絶対熱いし、感動的だと思うんですけど
そんなレイが二重太陽を見るのもep4のルークに呼応してるし
製作陣は二重太陽出しとけばいいと思ってないか?
デルトロはそんなことしなかったぞ、JJ
今までは百歩譲って設定の話が多かったので、今回の話(設定)の方がスターウォーズらしくて好きという人もいるかもしれません
でも演出でもJJはやらかしてると思います
その代表的なシーンがベンに戻ったカイロ・レンとレイがキスをするシーンです
フォースチャットをしてた2人ですし、共鳴してるのはこれまでも描かれてたので唐突ではないと思いますけど、そういうことじゃないだろ〜!
2人が向き合った時に、絶対やめてくれ!絶対にキスだけはしないでくれ!と思いましたが案の定やってゲンナリしました
百歩譲ってep4のレイアみたくルークに「チュッ」と思わず軽くする感じなら分かるけど結構なげぇし……
キスってどう考えても恋愛感情を想起させるじゃないですか
レイとカイロ・レンってそういう関係ではないと思うんですよ!
いわば同志的なさ、もっと魂のつながりというかフォースでつながってる2人のはずなのに……キスさせるか??????
これで思い出したのは「パシフィック・リム」のラスト
内容的にはシンクロしてた2人ですから「パシフィック・リム」の方がキスしてもおかしくはないけど、デルトロはおでこをつけ合わせるだけにしてました
JJは何を考えとるんだ!デルトロなら絶対にそんなことはさせてなかったぞ
今回のでデルトロはやっぱり分かってる男だなと思いました
あとジェダイって恋愛禁止なんで……笑
ルークの扱い方に失敗したディズニー版スターウォーズ
結局ディズニー版、新新三部作(シークェルトリロジー)で一番の失敗ってルークの扱い方だったんじゃないかと思います
あとはやっぱりレイの出自を急にep9で決めたことかな
なんか結局そっち側の人たちの話にしてしまったことで、ep7もep8もなんかどうでも良く思えてきます
多分それを懸念してかフィンにやたら「感じるんだ!」と言わせてますが、これまでのフィンの言動から脳筋が「感じる、感じる」と言ってるようにしか見えない
まぁもっと言うと問題点は一貫したストーリーや設定を構築しないまま制作してしまったってことだと思いますが
eo9でももちろん良いところはありましたよ。過去のジェダイマスターたちの声が励ましになってレイがもう一度立ち上がるところやルークのXウイングが飛んでるところなど
でもトータルでは完結編でこれを出されてしまうと、これまでのシリーズってなんだったのかと思うような完結編でした
これまでディスられてきたプリクエル世代としては相対的にプリクエルの評価が上がりそうで嬉しいやらむなしいやら……