『屍人荘の殺人』見てきました〜。ぼくはあんまり小説を読まないんですが(特に映画になる前に読んでたケースは稀)「屍人荘〜」は映画化されると聞き、なおかつ内容が「大学の映研の合宿で事件が起き、それを名探偵が解決する」という内容で、浜辺美波ちゃんが主演だと言うので映画化前に読んでいました。原作未読で見に行こうと思う方は、なかなかのサプライズがあるので、何も情報を入れずに見た方が楽しめると思います(以下ゴリゴリにネタバレあります)
原作との違い……多すぎる!
鑑賞前は「せっかく原作読んだし、映画と原作の違いをブログにあげたろう!」と意気込んでいましたが、細かいとこまで含めるとめちゃくちゃ多いです
もちろん原作通りにやっているのが素晴らしい映画というわけではないし、むしろうまく脚色するのが映画化の醍醐味だと思いますが、今作に関しては変えて違和感が増えているような気がしました。気になった点を中心にあげます
ロックフェス研究会が違う
原作:映画研究会
映画:ロックフェス研究会
映画だとロックフェス研究会になっており、フェス会場に行くとゾンビに襲われるという展開になります(原作では肝試しの帰りに襲われる)
おそらくフェスに行くと襲われた!というのを分かりやすくするために、変えたんでしょうけど……ロックフェス研究会??自分は聞いたことないけど、あるんでしょうか
まぁあるとしても、ロックフェス研究会にしたことで、実際のフェスを描く必要になったことが問題だと思います
劇中のフェスがめちゃくちゃしょぼく見えました
それに紫湛荘に行くのが目的なので、フェスに行く必然性はないはずです
原作では、フェスでのバイオテロの様子が章の最初に並行して少し描かれる程度なので、映画化の際にはうまく省略できたはずです
別にフェスがちゃんと描けるなら良いと思いますが、しょぼかったので……
また原作では映画研究会だから、カメラを持っていてそこにゾンビが映っているなどの描写がありました
また矢本悠馬くん演じる重本がゾンビ映画のファンでゾンビに対して詳しく活躍するというのも、映研ならより説得力があります
紫湛荘に誘う口実が違う
原作:合コンが目的の合宿なので女子が必要だからと誘う
映画:脅迫状で興味があるだろうと言う
原作では、中村倫也さん演じる明智さんが紫湛荘の事件を探してきて、乗り込もうとするが、男2人だけなので行けない
そこに剣崎比留子が、女子同伴なら参加できるだろうと誘います
映画では、何か起こりそうだから行きましょうという誘い方でした
映画だと誰でもフリーパスで参加できるような感じになっていました
まぁこれは些細なことか
キャラ設定が違う
原作:全員学生とOBなど関係者
映画:関係ない人入ってる?
原作では、紫湛荘に閉じ込められるのは、全員神紅大学の関係者です
もちろん静原もです
また原作では呼ばれた女性陣は全員容姿が整っているという設定でした(それに違和感を抱く描写がある)
映画ではゾンビ騒ぎのドタバタに紛れて、3人関係ない人が紫湛荘に入ります
高木は、静原のことを目にかけているという設定がただのおばさんに変わってましたが、やはり一番おかしいのは静原です
原作では同じ大学に入って映画研究会に所属するという設定が
映画では偶然を装って、フェスの会場でスマホを落とし、それを拾わせ、声をかけさせるという無理ゲーな設定になっています
偶然を装って、スマホを拾わせたのです!って推理してて実際その通りだったんですけど、難易度高すぎだろ
キャラの造形が違う
原作:名探偵!
映画:名探偵?
一番違うのは剣崎比留子の造形だと思いました
原作では警察にも助言をしている名探偵となっており、その後の言動も名探偵です
映画では、確かに名探偵と言われているし、頭も切れていますが、探り探りで、最後も犯人を絞りきれてない状態です
原作を知ってるからか見てて全然名探偵じゃなくね?と思いました
どっちかというと原作の明智さんに近いぐらいに感じました
映画での明智さんは、ホームズと言われてるし、最後の真相が分かっていたというエクスキューズが付きますが、
それ以外は基本ボケキャラというかホームズは自称してるんじゃないかという感じのキャラです
原作にももちろんそのような面もありますけど、ミステリーが好きで、確かに能力は剣崎に比べるとないかもしれないけど、事件解決のために奮闘しているという感じです
だからこそ原作だと半分ちょい前ぐらいで明智さんはゾンビに食べられてしまいますが、結構ショックなわけです
それが一般人の明智と天才比留子との対比にもなってくるし
映画だとキャラ的な魅力よりも中村倫也が食べられるというキャスティングの方でのショックが強いはずです(もちろんそれも一つの手段ではあるが)
比留子に話を戻すと、映画では目先の笑いや(いわゆるベロベロバー)かわいさを優先させてるせいで、抜けているところも結構あるという描写です
原作では天真爛漫で無防備なため、周り(というか葉村)がドギマギするという感じです
葉村を誘う動機が違う
原作:2人で立ち向かえば良いと気づいたから
映画:なんか2人を見てると良さそうだったから
これは根本的なキャラ設定が映画ではストンと抜けているからです
原作の比留子は、簡単に言うとコナンくんみたいな体質で事件を引き寄せてしまう体質なのです
だから名探偵になったと言うよりは、生き延びるために名探偵にならざるを得なかったという設定なのです
そんな時に神紅のワトソンとして、ホームズを支える葉村を見て、一人じゃなく二人で立ち向かえば良いと言うことに気づいた、だから誘ったという感じなのです
でも映画はその設定がなかったですよね
犯人の見せかけ方が違う
原作:ゾンビがやったのか人間がやったのか
映画:知能持ってるゾンビじゃね?
映画でも置き手紙があったので、人間の犯行か?という線ももちろんありますが、被害者がゾンビ化するので、そりゃゾンビが食べたんだろとなります
原作は目の前ではゾンビ化せずに、死んでいる状態なので、人間かゾンビどっちがやったのか惑わせるというのが犯人の狙いです
また自分も映画を見てて、ゾンビの体液を目薬に混ぜるトリックを静原が思いつくなんていくらなんでもと思いましたが、
原作だとテレビで目や口に入れるなと散々注意喚起しているという説明があるので、まだ納得できるんですよね
映画もあったかもしれないけど、明らかに描写が足りないと思いました
犯人のテンションが違う
原作:ある意味観念したように
映画:興奮状態
原作では、置き手紙から犯人の狙いが七宮だということが周知の事実になり、最後に七宮が殺されてしまったことで、もう犯人を晒すのは意味がないという展開になります(ゾンビもきてるし)
映画ではゾンビが来てる今、推理披露なんてしてる場合か!という感じでした
原作も映画も比留子に促すのは静原ですが、原作はもう使命は終えたので観念して比留子に促すという感じなのです
映画のように興奮状態という感じではありません。だから静原犯人だと知り、映画を見るとあそこのテンションがおかしく感じました
明智登場が違う
原作:階段を登ってくる
映画:救助が来た状態でいる
これもラストなのでめちゃめちゃ気になりました
原作では階段を登ってくるゾンビの一人が明智さんじゃん!となり、比留子がトドメを刺すという流れです
映画では何故か救助され助かった後に、ゾンビ化した明智さんがポーズを取って湖畔にいました
あそこにいるのは絶対おかしいですよ。違和感しかありません
ゾンビの救出に来てるのに、ゾンビは一番警戒してるはずだし、人間かゾンビかは救助隊がいの一番に確認することなのになんであそこにゾンビがいるの?
どうしても救助隊が来た時に、登場させたいなら死体となった明智さんを見つけて、実はまだ息があって襲ってくるとかならまだ分かりますが(それでもおかしいと思うが)
映画であそこにいるのは絶対おかしいです
他にも細かい違いはたくさんあるが……
他にも葉村がついていた嘘や原作からオミットされてる部分もたくさんあります
その辺りはあげませんが、原作は本格ミステリーにゾンビも入ってくるのがすごく面白かったので、気になる方は原作を読んでみてください
映画は浜辺美波ちゃんは良かったけれど、後は微妙……になっていて、しかもそれが原作から変えたとこが多いというのが一番残念というか、どうしてわざわざ変えたんだろうと思いました
映画はちょっとゾンビに寄りすぎたのかなぁと思います。ミステリー感があんまないですもんね
例えば前半はミステリーを中心にして「フロムダスクティルドーン」のような構成の映画にすればサプライズもあったはずなのに……と思わざるをえません